
防衛費などの増加分を賄うために、2027年度以後、1兆円強の増税を行うとの考えを岸田総理が表明したとのことです。
来年4月には統一地方選挙を控えて、この時期の増税表明は与党にとってマイナスとみられます。
そのため、安易な増税路線選択については「経済再生のラストチャンス(であるこの時期の)増税には慎重であるべき」(西村経済産業相)、「防衛費増額は、増税なくとも実現できる」(和田政宗参議院議員)など、自民党内からも批判が少なくありません。
岸田総理の安易な増税選択を聞いて「(岸田総理の)宏池会は、世代が変わっても相変わらず世論音痴」「宏池会は歴史から学ばない」と思わずにはいられませんでした。
今回の増税議論で思い出されるのが、宏池会出身の総理の大先輩にあたる大平正芳総理のもとで行われた1979年の衆議院選挙です。
当時も現在と同様に財政再建が問題になっていて、大平総理は消費税導入の必要性を掲げて選挙戦を戦いました。
わざわざ選挙中に増税の話をしなくてもよいのにと思ってしまいますが、大平氏は誠意をもって話をすれば有権者は分かってくれる-と考えていたようです。
このあたり、世論を感知する能力がやや欠落していたのではないか-と考えざるをえません。結果として、自民党は選挙で議席を減らしました。
その後、選挙中に増税に言及した大平総理の責任を問う声が自民党内の反主流派から噴出します。その結果、自民党は前代未聞の「40日抗争」と言われる混乱状態に入ってしまいました。
その時に、反主流派の築いたバリゲードを撤去する浜田幸一議員(浜田靖一防衛相の父君)の姿がテレビで大きく放送されました。
この映像は現在でも頻繁に紹介されるので、ご存知の方も多いと思いますが、その40日抗争の時のものです。
翌年(1980年)5月、野党が提出した内閣不信任案が、自民党内反主流派が本会議を欠席したこともあり、可決されてしまったのです。
そこで、再び衆議院選挙に突入するわけですが、40日抗争、不信任案可決に加えて、浜田議員のラスベガス賭博事件などで疲労困憊していた大平総理は選挙中に亡くなってしまったのです。
大平総理の「弔い合戦」という追い風もあり、自民党は勝利しましたが、この半年間の混乱も元を考えれば、冷たい言い方になりますが、世論に疎かった大平総理が安易に増税に言及したことが原因と言えなくもありません。
岸田総理には、大先輩の大平総理の当時の動向、党内抗争の歴史から学んで頂くことが多々あると思うのですが、無理でしょうか。
このまま増税路線が通ってしまえば、与党にとって統一地方選挙はかなり厳しい戦いになる可能性があります。
またその選挙戦に敗北という結果になれば、当然、岸田総理の選択について与党内から責任を問う声が出てくるでしょう。「40日抗争」の再演もあるかもしれません。
九星気学でみれば、岸田氏の七赤金星は11月の「停滞運」(不測の事態が多く、ツイていない時期)の苦しい時期をどうにか切り抜けたと言えそうです。
12月は「整備運」(基本を守り、信用第一に動くべき時期)に入っています。徐々に運勢の安定感は増してくると思われますが、まだ病み上がりのような状態で、盤石ではありませんし、油断もできません。
今後の予算議論、岸田総理、与党議員の動向に注視していきたいと思います。
七赤金星の人とは:1921年、1930年、1939年、1948年、1957年、1966年、1975年、1984年、1993年、2002年、2011年の各年の立春以後、翌年の節分までに生まれた人。
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