元ベンチャーズのリードギタリスト、ジェリー・マギー氏(Gerry Mcgee)が10月18日に亡くなりました。
ベンチャーズと言えば、1959年結成のアメリカのインストゥルメンタルのロックグループですが、60周年を迎えた現在も健在です。
私が楽器を手にする切っ掛けとなったのもベンチャーズでしたので、渡辺香津美、パット・メセニーなどのジャズギタリストにも大きな影響を与えました。
ベンチャーズが最も人気の高かった1960年代前半はノーキー・エドワーズがリードギターを担当していました。しかし彼の脱退後、1960年代後半からリードギターを担当したのがジェリーでした。(ノーキーについては「元ベンチャーズ、ノーキー・エドワーズ氏亡くなる」をご覧ください)
その後、ベンチャーズのリードギターは、ノーキーとジェリーが交代で務めることになります。
ベンチャーズのライブは1974年以後、何回か聴きましたが、いずれもリードギターがノーキーの時で、ジェリーの生の演奏を一度も聴けなかったのは今となれば心残りです。
CDなどで聴く限り、ノーキーのギターソロが明るいカントリー調なのに対して、ジェリーのそれはブルースの影響が濃く、ノーキーよりもディストーションが効いた音色で、よりダークな印象があります。ジェリーがベンチャーズに加入してきたのが、1960年代後半のハードロックエイジだったことも影響しているのでしょう。
ノーキーのソロを聴き慣れていた私には、ジェリーのスタイルはやや異質で、それゆえに興味深いものがありました。
「京都の恋」「京都慕情」「雨の御堂筋」などベンチャーズ作曲の日本のヒット歌謡は少なくありませんが、ジェリーも名前と連ねています。亡くなったのも、来日中だったとのことで、日本と強い縁のある方だったんですね。
ベンチャーズも、ノーキー、ジェリーに加えて、初期メンバーのメル・テイラー(ドラムス)、ボブ・ボーグル(ベース)も既に他界しています。オリジナルメンバーのドン・ウィルソンも完全引退して、現在はメルの息子であるリオン・テイラーを中心に活動しているようです。
ひと昔だったら、オリジナルメンバーがいなくなっても、バンドが存続することなど考えられませんでした。しかし、いざ、その時になってみると、こういう形で名バンドは続いていくのですね。
ジャズでも、デューク・エリントン楽団、カウント・ベイシー楽団という名ビッグバンドも、リーダーが亡くなった後も新たなメンバーが支え続けています。
ロックなどポピュラー音楽のバンドも、読売巨人軍などプロスポーツのチームと同様に、メンバーが交代しても存続するのが一般的になっていくのかもしれません。
オリジナルメンバーがいなくなったら、かつての名曲を演奏するバンドが無くなってしまうというのも確かに寂しいですね。
ジェリーはリハの最中に倒れたとのこと、こう言うと誤解を招くかもしれませんが、ミュージシャンにとっては羨ましい死に方だったかもしれません。
ジェリー・マギー、1937年11月17日生まれ、九紫火星。ご冥福をお祈りします。
九紫火星の人とは:1919年、1928年、1937年、1946年、1955年、1964年、1973年、1982年、1991年、2000年、2009年の各年の節分以後、翌年の節分の前日までに生まれた人。
バンドだと、メンバーが若手に交代し、演奏スタイルとお約束のフレーズを継承しながら存続して行くというのがあり得ますね。それでもファンがついてくるというところがオリジナルメンバーの偉大さだと思います。今後ベンチャーズとして新曲を出し続けていただけたらすばらしいと思います。