元ベンチャーズのリードギタリストのノーキー・エドワーズ氏が亡くなりました。元ベンチャーズと書きましたが、何回も出たり入ったりしているので、この表現は適切でないかもしれません。

1960年代に日本中でエレキギターブームを起こし「エレキの神様」とも呼ばれました。ギターテクニックには定評があり、自分の両腕に高額の保険をかけるほどでした。スタイルとしてはカントリー系と言えるでしょう。

やはりベンチャーズに度々参加していたジェリー・マギー氏はブルース系だったので、ギターが長めのソロをとる「朝日の当たる家」では、両者のスタイルの違いが際立って興味深いものがありました。

3大ギタリストの一人であるエリック・クラプトン氏が実はノーキーを尊敬していたというのも読んだことがありますが、ノーキーの他のギタリストへの影響力は非常に大きなものがありました。

同じエレキサウンドの加山雄三や寺内タケシだけでなく、パット・メセニーや渡辺香津美などジャズギタリストにも大きな影響を与えました。

私が初めてノーキーのギターを聞いたのは、1974年のベンチャーズの来日公演でした。初めて聴く外タレでした。当時のベンチャーズは、キーボードや女性ボーカルも入った比較的豪華なステージで、ギター2本にベースとドラムスという初期のシンプルなスタイルからの脱皮を模索しているように見えました。

全盛期の1960年代中盤から10年ほど経っており、当時の若い人の間では「ベンチャーズはもう古い」「終わっている」などの声も聞かれるようになり、ベンチャーズ自身も色々な試行錯誤をしている時期だったのでしょう。

「日本でしか売れない」という悪口も言われました。それでも当時、ひと夏のうちに日本全国をくまなく回り、100回以上のコンサートをこなしていたというのは、今にしてみれば「驚き」の一言です。

80年代以後はベンチャーズのコンサートに行くことは無くなりましたが、私が楽器を始めるきっかけになったグループだけに、その動向は時々フォローしていました。

「終わっている」などと悪口を言われた1970年代から早くも40年。 ベンチャーズは現在もメンバーが入れ替わって存続しています。そしてノーキーのギタリストとしての高い評価も定着しています。

この40年間に多くのグループ、ギタリストが輩出しては忘れられていった中で、歴史の風雪によく耐えてきたと思います。

ノーキー・エドワーズ、1935年5月9日生まれ、二黒土星。ご冥福をお祈りします。