え、この人がプリンス?

田中角栄元総理の流れをくむ大派閥が、額賀福志郎会長を降ろそうとする一派のクーデターで揺れています。

額賀氏の名前を聞くのはあまりにも久しぶりでした。改めてチェックしてみると、財務大臣をはじめ、経済企画庁(現内閣府)長官、そして防衛庁(現防衛相)長官などの要職を歴任、あまりにも輝かしい履歴に驚かされます。

しかしそのわりには、こうも印象が薄いのはどういうわけなのでしょうか。私が記者として額賀氏に接したのは2000年に彼が経企庁長官に就任した時でした。

個人的感想を遠慮なく言わせて頂ければ、彼の先輩である田中角栄氏、橋本龍太郎氏のようなオーラ、カリスマ性は全く感じられず(橋龍は嫌なヤツでしたが、そのオーラは凄みがありました)、またやはり先輩にあたる小渕恵三氏のような人間的な魅力も感じませんでした。「え、この人があの大派閥のプリンス?(ということは将来の総理・総裁候補)」と訝しく思ったことを覚えています。

さらに、この角栄氏の流れをくむ大派閥が、小渕総理(2000年に職務中に死亡)以来、総理を出していないというのも驚きです。旧田中派と言えば、かつては行動力抜群の派閥として知られていました。1978年の自民党総裁選挙でも、大平正芳氏が当初有利と言われていた現役総理の福田赳夫氏を番狂わせで破りましたが、これも田中派の支援なくしては有り得ないことでした。

後に角栄氏は、自派閥から総理候補を出さずに、他派閥の長を総理にする戦略に転じました。これは角栄氏がいずれは自ら総理に返り咲こうという野心を捨てきれなかったためと言われています。

カリスマ角栄も若手抑えきれず

しかし、自派閥から総理候補を出さない期間が長くなると、血気盛んな派閥の議員はそれに不満を持つようになり、ついに竹下登元総理、小沢一郎氏、金丸信氏らを中心に多くの議員が角栄氏の元から去りました。かつては自民党の外にありながら、自民党内の最大派閥を支配した「闇将軍」角栄氏をしても、そうした若手議員の勢いを止めることはできなかったのです。

旧田中派とは、こうした下剋上の多い派閥でもあります。ですので、角栄氏とはカリスマ性、リーダーシップで大きく見劣りする額賀氏が、若手から見切りをつけられても無理はありません。

勿論、額賀氏がこれまで派閥の会長でいられたのは、それなりの良さも持ち合わせているからでしょう。波風を立てず、宥和を貴重とするスタイルのようですし、面倒見も良いのかもしれません。

しかしながら、2009年に派閥の会長になって以後、額賀氏は一度も総裁選挙に出ていません。また大政治家と言われる人なら必ずテーマをもっているものですが(消費税の竹下、行政改革の中曽根・橋龍、郵政民営化の小泉など)、そうしたテーマも彼からは見えてきません。

日韓議員連盟会長でもありますが、最近の日韓議員会合でも、言うべきことを何一つ言えず、まさに韓国側にしてやられたことが報じられました。中国、韓国に対してもはっきりと物を言う安倍、麻生、菅らの現役閣僚との「器の違い」を感じたのは私だけではないでしょう。こういう状況では、派閥内の血気盛んな若手議員から「やる気があるのか」という不満が噴出してもおかしくありません。

ポスト安倍の総理候補をみても、小泉進次郎氏、石破茂氏、岸田文雄氏などの名前が挙がります。しかし額賀氏の名前が挙がることは絶無と言ってよい状況。今回のクーデター劇のおかげもあって、久しぶりにスポットライトが当たりましたが、有権者からは完全に忘れ去られた存在です。近い将来、額賀氏が総理になるチャンスはほとんど無いと言わざるをえません。

額賀氏は会長の座に留まる意向のようですが、ここは人心一新の意味でも、派閥の将来を考えても勇退が良さそうです。運勢的に見ても額賀氏に勝算は薄いと感じます。額賀氏は1944111日生まれですので、九星気学では三碧木星という星です。

この星は若くして芽を出す早熟の星で、小池百合子都知事やロシアのプーチン大統領が同じ星です。今年は「改革運」(無駄と無理に注意する時)となります。「停滞運」(不測の事態が多く、ツイていない時)ほどではありませんが、注意を要する年回りです。神宮館暦でも「今まで順調に流れてきた運気も渋滞状態に入る」としています。来年はやや持ち直しますが、再来年は停滞運で要注意です。

吉田氏に飛躍のチャンス?

一方、額賀降ろしの中心となっている吉田博美参議院議員ですが、今後注目される機会が増えそうです。吉田氏は、額賀氏の後任に竹下亘氏(竹下元総理の義弟)を据え、いずれは小渕優子(小渕元総理の娘)を長に据えたい意向のようですが、自らが会長となるチャンスもありそうです。

吉田氏は1949617日生まれですので六白金星という星になります。この星はカネに縁があり、また政治家向きでもあります。ファーストリテイリング(ユニクロ)創業者の柳井正社長や麻生太郎財務相が同じ星です。

昨年(今年の節分あたりまで)は「停滞運」で、9年に一度の衰運の年でした。しかし今年は「整備運」(基本を守り、信用第一に動くべき時)となり、運気が安定に向かいます。またその翌年は「躍動運」(積極的に努力して希望が叶う時)と尻上がりに勢いを増してきます。吉田氏の今後の言動に注目したいと思います。

六白金星の人とは:1922年、1931年、1940年、1949年、1958年、1967年、1976年、1985年、1994年、2003年、2012年の各年の節分以後、翌年の節分の前日までに生まれた人。

九星気学について