前年比のプラス圏入りは困難?
来週中にも発表される2017年の基準地価ですが、前年比のマイナス幅の縮小が予想されます。
日本の地価統計には国土交通省が発表する公示地価と基準地価、国税庁が発表する路線価があります。それぞれ調査地点とか基準日が違っているのでグラフにすると違いが認められますが、トレンドはほぼ同じです。公示地価と基準地価の違いで一番大きいのが基準日です。公示地価が1月1日時点、基準地価は7月1日時点となっています。
過去の両統計(全国全用途)の前年比での変動率を見ると上のグラフのようになっています。また過去10数年の変動率は以下のようになっています。
基準地価をみると、リーマンショック(2008年9月)の翌年の2009年には前年比マイナス4.4%と大きく下落しましたが、その後、徐々にマイナス幅が縮小しています。公示地価も同様で、2010年にマイナス4.6%を付けた後は下落幅が縮小、2016年以後はプラス圏入りしています。
上のグラフから分かる両統計のトレンドから判断すれば、2017年の基準地価は、16年の前年比マイナス0.6%からマイナス幅が縮小しそうです。ただプラス圏入りは難しいかもしれません。基準地価と公示地価の変動率のギャップをみてみると、16年は基準地価が前年比マイナス0.6%、公示地価は同プラス0.1%なので、そのギャップは0.7ポイント(0.1マイナス(-0.6))となります。14年も15年のギャップをみると、ともに0.6ポイントとなっています。
両統計の0.6−0.7ポイントのギャップが今年も維持されるとすれば、17年の基準地価は前年比マイナス0.2%からマイナス0.3%になると予想できます。実際にマイナス0.2−0.3%になれば、1980年代後半のバブル崩壊以後では最小のマイナス幅となります。基準地価が最後にプラスを付けたのは1991年(プラス3.1%)でした。