米中貿易戦争は中国に不利?

今年前半は国家主席の任期が廃止され、習近平氏への権力の一点集中が進みました。しかしここにきて飛ぶ鳥を落とす勢いだった習氏の運勢に陰りが見え始めています。

その直接的きっかけになったのは、米国の利上げ継続とともにトランプ米大統領による中国への経済制裁でしょう。中国もそれに対抗して、同規模の制裁を発表しました。

私は6月28日のブログで、米中貿易戦争はどちらかと言えば中国に不利と指摘しました。足元の人民元相場をみると、6月末の時点から、さらに下落が進行しています。

日本の既存メディアは中国に忖度してか、米中貿易戦争の勝敗については、これまで敢えて記事化を避けてきたように見えます。しかし、中国の通貨・株価の一方的な下落を前にして、ようやく一部で貿易戦争は「中国により不利」という論調も見られるようになりました。

中国では習氏を礼賛するポスターの撤去も進んでいるとのことです。最近の中国経済の停滞に加えて、米中貿易戦争と米国の利上げの中国経済への悪影響が今後明確になってくれば、民衆の政府に対する不満が高まることは不可避です。ポスター撤去は、そうした民衆の不満を習氏だけに集中させないようにするためとも言われています。

人民元安については、中国当局が景気下支えのために下落を放置する、あるいは人民元の切り下げに踏み切る―との予想も見られます。しかし、そうした措置がとられれば、資金がさらに中国から流出し、通貨安、株安に歯止めが掛からなくなる可能性があります。

また足元安定している物価についても、人民元安と高い原油価格が相まって、今後は強い上昇圧力が掛かると見られます。そうなれば、単なインフレではなく、不況とインフレがミックスしたスタグフレーション(日本もオイルショック時に経験)に陥る可能性すらあります。

そうした状況になれば、民衆の不満はさらに拡大、いわゆる「墨汁事件」程度では済まなくなるでしょう。

習氏は1953年6月15日生まれですので、九星気学では二黒土星という星になります。この星は40歳台前半あたりから本領を発揮しだす遅咲きの星で、黒田東彦日銀総裁や河野太郎外相らが同じ星です。

やや意外感がありますが、日本サッカーのかつてのスーパースター、釜本邦茂氏もこの星です。こつこつと物事を進めていく忍耐力があり、包容力もありますが、リーダーと言うより一般に補佐役が向いているとされます。

習氏が国家主席に就任したのは2013年です。2013年は「整備運」(基本を守り、信用第一に動くべき時)でした。

その後、14年が「躍動運」(積極的に努力して希望が叶う時)、15年が「福徳運」(誠意と熱心さで万事が好調の時)、16年が「調整運」(物事を冷静に判断し、調整すべき時)、そして17年が「強勢運」(勇気と信念でチャンスに恵まれる時)でした。

こうしてみると、国家主席に就任して以来の5年間は、習氏にとって隆盛の時期、上昇トレンドの時期と言えます。

そして今年は「嬉楽運」(人脈を強化し、足元を固める時)に入っています。昨年の「強勢運」ほどの勢いはありませんが、良好な運勢の年と言えます。

運勢的には今年がピークで、それを裏付けるように、習氏への権力集中が進み、一極体制が固まりました。

習氏、来年は要注意

しかし運勢というものは、上り詰めてしまうと、後は落ちるだけ-ということにもなりかねません。習氏の運勢をみると、来年からの3年はどちらかと言えば衰退期に入ります。これまでの順調な5年間とは一転して、習氏の運勢、また中国共産党の支配も不安定化する可能性があると見ています。

習氏の二黒土星にとって来年は「改革運」(無駄と無理に注意する時)となります。この時期は「停滞運」(不測の事態が多く、ツイていない時)ほど悪くはありませんが、要注意の時期です。

実際に来年は、習氏にとって頭の痛くなるようなイベントが待っています。その筆頭は、来年は1989年の天安門事件から30周年にあたることでしょう。国内外で、一党独裁体制への不満、批判が表面化しやすくなることは想像に難くありません。

また上で指摘したような米中貿易戦争や米国の利上げの悪影響も(当局が有効な策を取れなければ)、その時点では表面化して、民衆の不満に油を注ぐことも考えられます。

私個人としては、国内イベントですが、日本で元号が変わることも時代のトレンドを大きく変えるような変動につながりやすいとみています。昭和から平成へと時代が変わった後に、株価や地価という資産価格が急激に下落、結果として「失われた20年」へと突入していきました。天安門事件があったのも平成元年です。

習氏にとって再来年(2020年)は「評価運」(努力の花が咲くが、後半が不安定な時)に入ります。前半は落ち着きますが、後半の変動には要注意です。

そしてその翌年の2021年は「停滞運」(不測の事態が多く、ツイていない時)で、人生サイクルの9年で最も衰運の時期に入ります。つまり2019-21年の3年間は二黒土星の習氏にとっては、過去5年間には経験しなかったような試練の時期に当たるわけです。

習氏だけでなく、中国共産党支配への影響もあるかもしれません。以前のブログで、トランプ米大統領の使命は中国共産党を崩壊させること-と予想しましたが、それが現実化する可能性すらあると見ています。

これまで経済通と言われる人の間で「2020年代半ばには中国のGDPが米国のそれを追い越す」との能天気な中国経済楽観論が見られました。確かに、これまでの状況がそのまま続けば、そうなるのかもしれません。

しかし私には全く荒唐無稽の議論に思えました。1980-90年代に日本が米国に次いで経済規模で世界第2位だった時に、米国は日本の経済を弱体化させるべく、徹底的に叩いてきました。

当時の日本は経済大国でしたが、軍事・政治大国ではなく、それほど米国の存在を脅かすとは思えませんでしたが、それでもそうしたことがあったわけです。

現在の中国は、経済、軍事、政治のいずれの分野でも当時の日本とは比べ物にならない大国です。米国が、みすみすGDP第2位の座に陥落するのを、無策のまま容認するはずがありません。これからも突っ込み所を見つけては叩いてくるはずです。

李克強首相、来年は復権のチャンス

習氏が今年までの数年間で、権力基盤を盤石にしてきた半面、かつてのライバルだった李克強首相の存在感は徐々に薄れてきました。

しかし来年になると、習氏の運勢に陰りが出てくる一方で、李氏が息を吹き返す可能性もありそうです。

私はこれまで、今年に入って習氏が権力基盤を固めれば、李氏は年内にも失脚すると見ていました。しかし実際には、失脚どころか、意外な粘り腰を見せています。5月には首相として初来日して安倍総理と会談するなど存在感を見せ付けました。

もし李氏がこのまま年内、首相の地位を維持し続けられれば、来年の節分以後は、昨年までの強運が復活し、習氏と立場が逆転することもあるかもしれません。

李氏は1955年7月1日生まれですので九紫火星という星になります。この星はやや独善的になりやすい傾向はあるものの、リーダーシップに恵まれ、権力闘争に強いのが特徴です。

同じ星にトランプ米大統領、レスリングの吉田沙保里氏、また先のワールドカップで日本サッカーを指揮した西野監督がいます。

李氏の九紫火星は、2017年までの3年間は非常に強い上昇運だったのですが、今年は「調整運」(物事を冷静に判断し、調整すべき時)に入り、勢いに陰りが見られます。しかし来年に入ると「強勢運」(勇気と信念でチャンスに恵まれる時)に入り、昨年までの強運が復活してきます。

「踊り場」の今年をどうにかしのげば、来年は再び強運が巡ってきます。来年は習氏が「改革運」(無駄と無理に注意する時)に入り、苦戦が予想されますので、李氏にとっては権力基盤を拡大させるにはチャンスとなるでしょう。

二黒土星の人とは:1917年、1926年、1935年、1944年、1953年、1962年、1971年、1980年、1989年、1998年、2007年、2016年の各年の節分以後、翌年の節分の前日までに生まれた人。

九紫火星の人とは:1919年、1928年、1937年、1946年、1955年、1964年、1973年、1982年、1991年、2000年、2009年の各年の節分以後、翌年の節分の前日までに生まれた人。

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