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6月に入って上海でのロックダウンが解除されました。今後は中国での生産活動が再び活性化するとの連想から、世界の商品資源価格は上昇しました。

先週末に代表的な原油先物指数であるWTI118.87ドル/バレルに、またエネルギー、金属、穀物など19品目から構成されるCRB指数は323にともに上昇しました。

ともに2020年以後では最高値となっています(グラフC8参照)。

こうした物価上昇を受けて、米国の中央銀行であるFRBはインフレ抑制を狙い金融引き締め姿勢堅持を確認。それを受けて米長期金利(10年物国債利回り)は先週末に2.93%に上昇しました。

一方の日本ですが、日銀が指値オペを連日行っていることもあり、長期金利は0.25%以下(0.23%)にとどまりました。

その為、先週末時点での日米金利差は2.7%ポイント(2.93%-0.23%)に拡大しました。

日米金利差の拡大に反応して、為替は先週末時点で1ドル=130円を久しぶりに超えました。(グラフ:C3参照)

こうしたドル高・円安の動きは自動車、機械などの輸出企業にとっては収入増をもたらすプラス要因と言えます。

一方、この円安は、エネルギーや食料品などの輸入品価格の上昇を引き起こし、今後国内物価をさらに押し上げる要因になります。

ここで注目されたのが6日の黒田日銀総裁の講演でした。黒田総裁は日銀の金融政策について「引き締めを行う状況には全くない」と明言しました。

ということは、近い将来に日米金利差が顕著に縮小する可能性は低いということを意味します。また現行水準かそれ以上のドル高・円安が継続する可能性が高いということも意味します。

日米金利差拡大→ドル高・円安進行→輸入物価上昇→国内物価上昇という流れの継続が今後一番ありそうなシナリオと言えそうです。

また、黒田総裁が「家計が値上げを受け入れている」と発言したとするマスコミの見出しも国民の怒りを買いました。

家計としては、値上がりしても、食品など生活必需品を買わないわけにはいかないので、仕方なく買っているわけで、けして値上げを「受け入れている」とは違うと思うのですが如何でしょうか。

こうしたマスコミ報道を受けて、ネット上には消費者の批判、怨嗟の声が殺到しました。国民の「しらけ」はさらに拡大しそうです。

4月の生鮮食品を除くコア消費者物価は前年比2.1%上昇となり、日銀が目標とする2%を超えました。しかし日銀では、この上昇はあくまで一時的なもので、安定的に2%を超えている状況とは見ていないようです。

つまり黒田総裁が言っているように、金融緩和は継続し、ドル高・円安も続くということです。

実際、7日朝には米ドルが132円以上に上昇していました。

そう言えば先日の国会答弁で、ある野党議員が、最近の値上げラッシュに有効な手を打てないでいる岸田総理に対して「鬼」「財務省の犬」「財界の犬」と罵声を浴びせていました。

いやしくも一国の総理に対して「鬼だ」「犬だ」と罵ることはけして褒められたことではありませんが、この発言を痛快だと感じた人がかなりの数に上ったことも事実です。

先週末以後のこうした市場の動き、中央銀行や政府の動向によって、消費者の不満、怨嗟の声がさらに拡大、参議院選挙後の岸田政権退陣の可能性が一段と大きくなったと感じた次第です。

それにしてもテレビや新聞などの既存マスコミが言っている岸田政権への7割近い支持率は本当なのでしょうか?

本当にそうであれば参議院選挙も大勝して、政権も安泰が続くわけですが。選挙後が楽しみです。


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