6月売上、昨年9月以来の大きな増加幅も?

大手百貨店各社の6月の売上高の伸び率が発表されています。そごう・西武が前年比4.9%増、伊勢丹三越が同2.1%増、JFR(大丸・松坂屋)が同4.7%増、高島屋が同4.7%増と、4社揃って強めの伸びとなりました(図1)。

4社は、増加の要因として、前年同月と比べて土曜が1日多かったこと、好調な夏のバーゲン、堅調なインバウンド需要などを挙げています。

この4社の数字を用いて、回帰式(末尾参照)で6月の全国百貨店売上(今月23日発表予定)を予想してみると、前年比プラス3.5%と試算されます(5月の試算値はマイナス1.2%。図1参照)。

しかし、実際の発表数値と、回帰式による推定値の間にはC1を見ても分かるようにギャップがあります。例えば、5月の売上は回帰式では前年比マイナス1.2%と算出されましたが、実際の発表値はそれよりも0.8ポイント低いマイナス2.0%でした。

回帰式の予想は、このところ実際の発表数値を1.1ポイント程度上回っている(過去6カ月の平均)ので、その点を勘案すれば、発表される数字は前年比プラス2.4%程度が予想されます。というわけで、Research76では6月の百貨店全体の売上を前年比プラス2.4%と予想しておきます。

予想通りになれば、2カ月ぶりの前年比プラスであり、プラス幅も、2017年9月のプラス4.4%以来の大幅なものとなります。

インバウンド消費、先行きに不安も

5月までのデータを見る限り、インバウンド消費は依然として堅調です。

百貨店協会によると、5月の外国人向け売上の百貨店売上全体に対するシェアは6.4%と、4月の6.9%からは低下したものの、6%台という高水準を維持しています。

また外国人向け売上の伸びも前年比プラス49.0%と、2015年あたりの勢いは無いもの、昨年11月のプラス74.5%以来の高い伸びとなりました(C2参照)。

こうしたインバウンドの堅調さは他の統計とも整合的です。日本での消費額が最も大きい中国からの4月の訪日客数は前年比プラス29.3%となり、4カ月連続の2ケタ増となりました。

今後のインバウンド消費ですが、やや心配な状況です。中国人訪日客の購買力に影響のある為替、株価をみてみると、人民元は足元、対円でやや持ち直しており、これはインバウンド消費に若干のプラス要因です。

しかし株価(上海総合指数)は足元2800程度で推移しており、1月末(3488)に比べて20%ほど下落しています。こちらはインバウンドの足を引っ張る要因と言えます(C3参照)。

米中貿易戦争と米連邦準備理事会(FRB)の利上げが強く影響しているようです。

※回帰式
全国百貨店売上の前年比変化率の予想=0.16*「そごう西武の売上の前年比変化率」+0.093*「伊勢丹三越の売上の前年比」+0.163*「JFRの売上の前年比」+0.443*「高島屋の売上の前年比」-0.862