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5月百貨店売上は前年比2%超える大幅下落幅も?

大手百貨店各社の5月の売上高の伸び率が発表されています。そごう・西武が前年比2.6%減、伊勢丹三越が同2.4%増、JFR(大丸・松坂屋)が同0.8%増、高島屋が同0.7%減と、まちまちの動きとなりました(図1)。

4社は、増加の要因として、高水準の株価などで高額品需要が強かったことやインバウンド需要の堅調さを挙げる一方で、気温低下で春物衣料などの需要が弱かったこと、前年同月に比べて休日が少なかったことなどをマイナス材料としています。

この4社の数字を用いて、回帰式(末尾参照)で5月の全国百貨店売上(今月22日発表予定)を予想してみると、前年比マイナス1.2%と試算され、4月の試算値(プラス1.4%)を大きく下回ります(C1参照)。

しかし、実際の発表数値と、回帰式による推定値の間にはC1でも分かるようにギャップがあります。例えば、4月の売上は回帰式では前年比プラス1.4%と算出されましたが、実際の発表値はそれよりも0.7ポイント低いプラス0.7%でした。

回帰式の予想は、このところ実際の発表数値を1.1ポイント程度上回っている(過去6カ月の平均)ので、その点を勘案すれば、発表される数字は前年比マイナス2.3%程度が予想されます。というわけで、Research76では5月の百貨店全体の売上を前年比マイナス2.3%と予想しておきます。

予想通りになれば、3カ月ぶりの前年比マイナスであり、マイナス幅としては、2016年11月のマイナス2.4%以来の大幅なものとなります。

この大幅なマイナスが、上に挙げたようなカレンダーや天候要因によるものなのか、総務省が指摘するように物価上昇などによって消費の「弱さ」が顕在化しつつあるのか、今しばらく注視したいと思います。

インバウンド消費、堅調続く

4月までのデータを見る限り、インバウンド消費は依然として堅調です。

百貨店協会によると、4月の外国人向け売上の百貨店売上全体に対するシェアは6.9%となり、2015年以後では最高の数値となりました。

また外国人向け売上の伸びも前年比プラス42.9%と、2015年あたりの勢いは無いものの高い伸び率を維持しています(C2参照)。

こうしたインバウンドの堅調さは他の統計とも整合的です。日本での消費額が最も大きい中国からの訪日客の数は4月は前年比プラス29.2%となり、3カ月連続の2ケタ増となりました。実際の訪日客数も、百貨店売上への貢献度の高い中国本土からの訪日客が68.3万人で第1位となっています。

今後のインバウンド消費ですが、強弱材料が交錯しています。中国人訪日客の購買力に影響のある為替、株価をみてみると、対円では人民元は底打ち反転となっており、インバウンド消費にプラスと言えます。

しかし株価(上海総合指数)はこのところ弱含んでおり、こちらは足を引っ張る要因と言えそうです(C3参照)。

足元のインバウンド消費は好調ですが、トランプ米政権が発表した対中制裁や米国の利上げ加速は、中国の通貨・株価の押し下げ要因として働く可能性が高く、今後はさらなる注意が必要となりそうです。

※回帰式
全国百貨店売上の前年比変化率の予想=0.16*「そごう西武の売上の前年比変化率」+0.093*「伊勢丹三越の売上の前年比」+0.163*「JFRの売上の前年比」+0.443*「高島屋の売上の前年比」-0.862

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