ピアノとベースのDuo作品は少なくないが、そのうちでもベストの1枚。テク抜群のバロンのピアノと、それに寄り添う重厚なヘイデンのベースのコンビネーションが絶妙。曲もスタンダードが中心。

ベースのヘイデンはDuo名人。多くのピアニスト、ギタリストとのDuo録音を残したが、キース・ジャレットとのDuoを上回る出来。ジャケットデザインも良いが、音楽もこのジャケットをそのまま音に変換したような内容。これを聴けば、酒も美味くなる!

ジャズ界にはエディ・ゴメスなどテク抜群のベーシストが少なくない。その中で、どちらかと言えばテクのないヘイデンがいかにして生き残ってこられたのか―興味ある点ではある。

一つ言えるのは、ベースソロの長さの絶妙さだ。けしてロングソロはとらない。聴衆が「もっと聞き続けていたい」「もっと盛り上がって欲しい」と思う時点でソロを切り上げる。当然、聴衆は欲求不満になるが、彼のソロに強く印象付けられる。こうした上手さは帝王マイルス・デイビスのソロにも言えることだと思う。

残念ながら、ヘイデンのライブはついに聴くことができなかった。これからも彼の何枚かのDuo作品を聴きつつ、彼のベースの魅力を解き明かしていきたいと思う。