2月の下落幅は12月並み?

大手百貨店各社の2月の売上高の伸び率が発表されました。そごう・西武が前年比3.9%増、伊勢丹三越が同3.5%増、JFR(大丸・松坂屋)が同3.2%増、高島屋が同0.4%減となりました。伸び率は4社中3社で1月より改善しました(図1)。

4社は、プラス要因として高額品需要が強かった、気温が低く冬物衣料などの需要が強まった、インバウンド消費が強かったーなどを挙げています。

この4社の数字を用いて、回帰式(末尾参照)で2月の全国百貨店売上(3月22日発表予定)を予想してみると、前年比プラス0.4%と試算され、1月の試算値(0.0%)を上回ります(C1参照)。

しかし、実際の発表数値と、回帰式による推定値の間にはC1でも分かるようにギャップがあります。例えば、1月の売上は回帰式では前年比0.0%と算出されましたが、実際の発表値はマイナス1.2%でした(上の図1)。

回帰式の予想は、このところ実際の発表数値を0.8ポイント程度上回っている(過去12カ月の平均)ので、その点を勘案し、Research76では2月の百貨店売上を前年比マイナス0.4%程度と予想としておきます。実際に予想通りの数字になれば、3カ月連続の減少ですが、下落幅は1月よりも縮小しそうです。

ちなみに昨年12月の試算値も2月と同じプラス0.4%でしたが、実際にはマイナス0.6%でした。

インバウンド消費は鈍化傾向?

2月の売上はマイナス0.4%と、1月のマイナス1.2%からやや改善を予想しますが、これには中国、アジアの旧正月の日取りも影響している可能性があります。旧正月は昨年は1月後半でしたが、今年は2月中旬となりました。

百貨店協会によると、1月の外国人向け売上の売上全体に対するシェアは5.5%と、1月の4.0%から改善しました。しかし外国人向け売上の伸び率は前年比プラス31%程度と、昨年6月のプラス42%以来の低い伸びに留まりました。(C2参照)。

こうしたインバウンドの鈍化は他の統計とも整合的です。中国からの観光客数の伸び率は、1月は前年比0.3%増と、12月の32.0%増から急減速しました。

今後のインバウンドですが、しばらくは、さらに鈍化する可能性が否定できません。株安や対円での人民元安などで、中国人訪日客の購買力の低下が予想されるためです。

上海総合株価は先週末は3269となり、2月末の3259からやや改善たものの、それ以前と比べても低水準にとどまっています。また人民元もは16.76円と、2カ月連続の低下となりました。(C3参照)。

※回帰式
全国百貨店売上の前年比変化率の予想=0.16*「そごう西武の売上の前年比変化率」+0.093*「伊勢丹三越の売上の前年比」+0.163*「JFRの売上の前年比」+0.443*「高島屋の売上の前年比」-0.862