政府は本日、日銀の黒田東彦総裁を再任する人事案を提示しました。黒田氏の続投がほぼ本決まりとなったわけです。

2013年3月の就任以来、黒田総裁は良い仕事をしてきました。事実、最大の懸案だったデフレ脱却も視野に入ってきています。

しかし今後5年間の続投となると、これまでのように順調にはいかないのではないかーとの危惧を感じまていす。というわけで、以前配信したログを再掲させて頂きます。

市場安定実現で、景気の「いざなぎ」超えサポート

2013年の就任以後の経済金融動向を振り返るにつけても「黒田総裁で良かった」と強く感じます。確かに市場関係者の間では「プラス2%の消費者物価目標」の達成が遅れていることへの不満がよく聞かれます。しかし私自身は、極度の円高を是正して為替・株式市場を安定させたことで、十分以上の仕事はしたと考えています。事実、円高を是正することで、景気も徐々に改善、デフレ懸念も弱まってきました。2%目標の達成などは蛇足であり、仮に目標を達成した場合には、国民から感謝されるどころか、むしろ物価高への怨嗟の声が出てくるのではないかーと心配になります。

下のグラフ(C1)でも分かるように、黒田総裁の任期は1ドル=90円台の円高状態から始まりました。100円を切るような円高になってしまうと、輸出が打撃を受けて景気が停滞、株価も下落、デフレも進行します。もっとも、海外旅行が割安になるのはプラス要因として挙げられるかもしれませんが。黒田総裁就任の直前を思い起こしてみると、極端な円高によって、日本経済への期待どころか、諦めムードが漂っていました。

それを過去5年間で是正したのですから大きな貢献と言えます。現在進行中のアベノミクス景気は1960年代の「いざなぎ景気」を超えて、戦後2番目に長い景気拡大となりましたが、為替・株式市場の安定無くしては、けして果たされることは無かったでしょう。

黒田氏の前任者だった白川方明前総裁の時代はどうだったのか見てみれば、黒田氏の偉業は明白です。下のグラフ(C2)をみても分かりますが、白川氏の総裁就任以後、為替は長期にわたり一方的な円高が進行、一時70円台となりました。それを受けて株価も低迷が続きました。この結果、景気も停滞、デフレも深まっていったわけです。

ただ、白川氏の就任直後にリーマンショックが勃発したこと、また同氏は元々、副総裁に就任して、その後の与野党の政争激化の中で、心の準備もできていないままに総裁に押し上げられたことー等の不運があったことは、白川氏の名誉のために付け加えておきます。一方で、首相、日銀総裁など、国全体の運命に影響を与えるような重職には、くれぐれも運の強い人を選ばなければいけないなと強く感じた次第です。

登り調子の5年間

黒田総裁は1944年10月25日生まれですので、九星気学では二黒土星という星になります。この星は晩成型で、41歳を過ぎたあたりから力量を発揮してきます。どちらかと言えば主役よりも補佐役が向いていますが、堅実、粘り強い仕事ぶりに定評があります。同じ星に河野太郎外相、習近平中国主席、日本電産の創業社長である永守重信社長らがいます。

黒田氏の二黒土星の過去の運勢を見てみると、就任した2013年が「整備運」(基本を守り、信用第一に動くべき時)、14年が「躍動運」(積極的に努力して希望が叶う時)、15年が「福徳運」(誠意と熱心さで万事が好調の時)、16年が「調整運」(物事を冷静に判断し、調整すべき時)、17年が「強勢運」(勇気と信念でチャンスに恵まれる時)となっています。まさに人生9年周期の「上昇期」に5年間の任期を過ごしたと言えるでしょう。金融政策も、総裁の想定から大きく外れることなく遂行できたのではないでしょうか。

敢えて良くなかった年を上げれば「調整運」にあった昨年です。2016年は、一時為替が100円割れとなり、株価も1万5000円台まで下落しました。昨年は総裁にとっても、苦労の多い時機だったでしょう。

次の5年間は試練の時機

では黒田総裁が実際に続投した場合、次の5年はどういう時期になるかと言えば「試練の時機」となりそうです。総裁の二黒土星にとって今年は「強勢運」(勇気と信念でチャンスに恵まれる時)にあって、すこぶる強運であることは既に述べました。では来年以後は?と言えば、2018年が「嬉楽運」(人脈を強化し、足元を固める時)となります。今年ほど強運ではありませんが、比較的運の良い方の時機です。

問題はそれ以後の3年間です。19年は「改革運」(無駄と無理に注意する時)に入りますが、この年は要注意です。次の2020年は東京五輪の年ですが「評価運」(努力の花が咲くが、後半が不安定な時)で、年後半が不安定になりがちです。その後の21年は「停滞運」(不測の事態が多く、ツイていない時)と、人生の9年周期で最も衰運の時機に入ります。

つまり、総裁にとって、次の5年、特に再来年以後の3年間は苦労が多い時期になりそうです。もっとも、この衰運も1年程度で終わり任期最後の22年には「整備運」(基本を守り、信用第一に動くべき時)に入り、安定へ向かいそうです。

パウエル新FRB議長も同じ星

ところで来年からFRB(米国の中央銀行)の新議長に就任するジェローム・パウエル氏ですが、1953年2月4日生まれです。1953年の節分である2月3日以後の誕生ですので、黒田総裁と同じ二黒土星という星になります。大雑把に言えば、運・不運のサイクルは黒田氏と同じ動きになるということです。

となると心配になるのが、先進国の中央銀行総裁2人が揃って衰運となる2019年からの3年間です。中央銀行総裁が苦労するということは、彼らが苦労するような事態、例えばリーマンショックのような経済ショック、が発生する可能性があると読むこともできます。要注意の時機と言えそうです。

二黒土星の人とは:1917年、1926年、1935年、1944年、1953年、1962年、1971年、1980年、1989年、1998年、2007年、2016年の各年の節分以後、翌年の節分の前日までに生まれた人。

九星気学について