安倍首相と

気になる強硬路線

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン副皇太子・国防相が皇太子に昇格しました。サウジの脱石油路線への支援を求めるために昨年も来日しましたし、日本のアニメファンでもあるようです。日本にとって有難い存在に見えますが、ISやシリア内政などで混乱の渦中にある中東にとって、新たな波乱要因にならないかー不安もあります。

ムハンマド氏の父上のサルマン国王は81歳と高齢ですので、今後のサウジの政治経済は新皇太子を中心に進むことになります。ここで気になるのがサウジの対外政策です。実は2015年にサルマン国王が即位して、ムハンマド氏が権力を握るようになってから、サウジの対外政策は強硬路線が目立っています。

アラブ諸国対イスラエルの4度にわたる中東戦争でも、サウジはカネは出すが、実際の戦争はエジプトやシリアなどに任せると言う姿勢を貫いてきました。ところがムハンマド氏が力を持ってからはイランやカタールとの断交など強硬姿勢が目立ちます。特にオバマ大統領時代に、米国がサウジのライバルであるイランと接近した時には、長年の同盟国である米国との対立も辞さないという強い姿勢を見せました。これまでは見られなかった動きです。

軽率な行動を厳に慎み「金持ち喧嘩せず」という伝統的姿勢も過去のものとなったようです。ただサウジにとって幸いだったのは、トランプ氏が大統領になって以後、米国が再びサウジ重視の姿勢に転じたことでしょう。サウジを巻き込むような紛争が起こった場合、現在緩やかな下落基調にある原油価格にどういう影響があるのか注目されます(下参照)。

過去にもあった王族間のいざこざ

もう一つの懸念は、サルマン国王が実子を皇太子に昇格させたことで、ムハンマド・ビン・ナーイフ氏が皇太子の座から廃嫡されたことです。ナーイフ氏がどういう人物なのか、何か重大な過失があったのかは分かりません。しかし大した失策も無いのに廃嫡されたのであれば、今回の人事は単なる親バカ、身内贔屓のようにも見えます。廃嫡されたナーイフ氏は面白くないでしょうし、他の王族の不満が募る可能性もあります。

サウジでは過去にも身内間でいざこざがありました。名君と言われ、第三次・第四次中東戦争でも重要な役割を果たした3代目のファイサル国王も、甥に殺されています。この時はサウジ王族内部で穏便に処理されましたが、今はISの台頭などで中東がより流動化していますので、サウジの不安定化につながらないか注意したいと思います。

今年は積極姿勢封印を

3代目のファイサル国王

上の2つの要因は既にマスコミでも指摘されていますが、もう一つ気になるのはムハンマド氏の今年の運勢です。彼は1985年8月31日生まれですので六白金星という星になります。先日取り上げたジャニー喜多川氏、そして麻生太郎財務相も同じ星です。この星にとって今年は「停滞運」で、人生の9年周期で「どん底」の時期に当たっています。

ムハンマド氏はまだ31歳と若く、大きな権力を手中にしたからには自分の政策を強力に推し進めようと張り切っていることでしょう。しかし、ここはぐっと我慢して欲しいのです。この年回りで、新たな事に手を出すのは上策ではありません。拙速に動けば躓くだけでなく、大けがに発展する可能性もあります。特に7-9月は要注意です。

こうした「停滞運」の年に昇格するというのも不思議に思えますが、この「どん底」もいつまでも続くわけではありません。来年の節分以後は「整備運」に入り、運気が安定に向かいます。その後の年は「躍動運」となり強運に転じてきます。

何を言いたいのかと言えば、焦ってはいけないーということです。運気の安定・持ち直しに向かう来年以後のために、今年は、日本とのアニメ共同事業を含めてブレインストーミングに徹して頂きたいと思います。実際の行動は来年の後半以後で十分です。また六白金星という星は「遅咲き」の星で、実際に本領を発揮できるのは41歳を過ぎたあたりからです。今は父上を初め、他国のリーダー達から多くを学び、吸収すべき時と思われます。3代目のファイサル国王を超えるような名君に成長することを期待しております。

九星気学とは